不偏不党


NHK出版から出ている「放送の20世紀」によると、岸首相は「安保改定問題」で、NHKに対し「首相単独での所信表明」をさせるよう申入れていたそうだ。然しNHKは単独の出演は断った、首相の言い分だけを「一方的に放送」する事は、放送法に決める「不偏不党」、政治的「公平」の主旨で受け入れ難い、としたのである(同誌137ページ)。現在のNHKの姿勢とは正に今昔の感がある。


最近NHKが、「各政党のニュース」は、各政党の《国会議席割合に応じ》て、それを各政党の持ち時間としてニュースを按分、《公平》に報道を行っている」、と言っている、(先般の国会委員会での答弁)。


「各党の放送時間を議席数に比例按分しているのだから《公平》だ」、「政府報道は別だ」と言いたいのだろうが、国会ではろくろく説明もせずに、官邸での「政党総裁」でもある小泉首相の一方的言い分だけは、毎日のように長々と全国放送するのは本当の「不偏不党」・「公平」の原則に沿っているのかどうか。

その論法で行くとNHKは「永久与党支持」論、即ち「政府ご用報道機関」と言うことになりはせぬか。


(写真は「八重桜」の季節)