官僚操縦術


内容的に実に問題が多い事もあるが、従来の諮問委員会と違ったのは、答申後も「法案改正進捗状況」監視の為、事務局を存続させ「監視する」とした事だ。


この手法は、日米構造協議後に、アメリカが日本の構造改革実施状況を「年次改革要望書」で日本に毎年突きつけている構図にそっくりなのである。


これが長年の閉鎖的官僚体質を変革した功績は認めねばならないが、これらの経験を通じて竹中氏は官僚操縦術を会得し、同時に「権力行使の妙味」を覚知したのだろう。


竹中氏は戦略会議答申の中で、次の一手を打っている、「IT戦略会議」を提唱し、森内閣で自ら事務局に就き、「電子政府」を提唱し実施させた。それ以降、各省庁が競ってホームページを作り情報を公開するようになった。


それらの手段は日本の官僚組織に決定的変化をもたらした。官僚は「他の省庁に遅れをとらない事」、即ち「省益」が「国益」にも優るのだ。


一例をあげる、最近の各省庁のホームページは競って「日本の国家機密に属する統計数字」に溢れ、(ご丁寧に英文併記になっている)今や日本は丸裸になっているようにさえ感じる。


これら情報はアメリカの政府・軍・各種情報機関・シンクタンク・大企業戦略部門等の俎上に上り、毎年の「対日年次改革要望書」の根拠にもなるものだ。