K先生との出会い


その時、閃(ひらめ)いたのは「K先生」であった、出身地の市長在任中、公示直前の総選挙に引っ張り出され、惜敗はされたが、元々は警察の最高幹部の一人だったと聞いていた。東京にご自宅がある筈。


日も措かず、世田谷のご自宅にK先生をお訪ねした、勿論初対面だったが先生はご出身地が我が家の直ぐ近所で、先生は自分の生家の事はよくご存知であった。


「幼い頃、貴方の家の庭で遊んでいて、よく“おばあちゃん”に叱られたものだ」と気さくに話される、勿論、祖母はとっくに死んでいるし、その家も、今は自分が無くしてしまっている。


その日は、昔話を伺いながら陽当りの良い応接室で奥様を交え歓談した、懐かしい郷里の話ですっかり先生にもご理解を得たように感じた、帰り際には「何れ関係先で調べ、連絡する」とのお約束を頂いた。


程なくして先生からお電話を頂き、「確かにこの書類は間違いない」、「ところで、これは、何の材料で作るのだ」と聞かれる。


そこまではMさんからは聞いてはいなかった、「早速お伺い致します」と言ってMさんに連絡をとり、今度はMさん同道でK先生宅にお伺いする事とした。



(写真は東京・浅草に出現した「昔懐かしい人力車」)