暗くなってしまった日本人−②

okamakoto2005-01-09

私が最初に外国旅行をしたのは1980年、今から丁度25年前の事だった。勿論、その時は仕事の都合で36名の方とご一緒してスエーデン・ストックホルムに行った時だった。(帰りに欧州6カ国視察)都内で「結団式」があって、羽田空港(当時未だ成田はなくて出国も羽田から、アンカレジを経由)出発当日、羽田で再度顔合わせの機会がありお互い「宜しく」と言い合って出発したものだった。 だからか、その際ご一緒した方々とは出発直後から既に親密となり、旅行中にはお互いの気心も分り合って未だにお付き合いしている方もある。


旅行とは本来そのようなものではあるまいか、「袖摺り合うも他生の縁」の譬えもあるように、折角長期間寝起きを共にするのだから、お互い名前も名乗り合って苦楽を共にしたら良いのではあるまいか、第一どこの何方とも判らずに行動を共にするのでは侘しいではないか、それに万一事故に遭ったりしたら一体お互いどうするのだろうか、自分だけ助かれば良いと言うものでもなかろうに。
 

妻は「いや、それで良いんですよ、へたに知り合うと煩わしいじゃないですか」「この頃はそんな人が多くなってきたのよ」と、如何にも「私のほうが古い」と言いたげな口調である。然し、どうも最近の日本人は「人間不信の塊」とでも言うのか、人間関係がお互い猜疑心と不信感でささくれ立って、ぎすぎすしてしまっているのではあるまいか。


「皆さん一人一人生きるのに懸命なのよ、今は他人の事まで構っていられないのよ」と、妻、「だからと言って自分のことだけにかまけて他の人は無関係だ、どうなっていようと良い、と言うものでもなかろうに」、「でも、第一、最近変な事件がありすぎない?」。そう言えば行きづりの見知らぬ人に切りつけたり殺したりする事件もあったっけ、 「然しそれは本当に特異なホンの偶々の事ではないか、日本中がそんな事でおかしくなって良いと言うものでもないのではないのかなー」


「だってこの頃毎日何かそんな事ばかりテレビや新聞でやっていない?」、「そうなんだな−今回、外国のホテルで日本のNHK衛星放送のニュースが入っていたけれど、又どっかのスーパーで放火事件があった、とか、幼い子供が殺されるって事件が起きた、そんな事ばかりやってたな−」「ニュース他にはないのかしらね」「平和なんだねーきっと、日本は。」


実は、本当は今の日本は「平和」なのではなしに、「閉塞状態」−或いはひょっとして「窒息状態」に陥っているのではないのだろうか。政治も停滞し、第一政治は国民と全く遊離してしまっているし、経済も財政も行き詰っていると言うのに「改革・改革」と叫んでいるだけで一向に変化しそうにもない。トルコだって選挙で政権交代があってエルドアン首相になってから、思い切ってインフレも沈静化させて、お札も切り替えてると言ってるのに。