テレビの功罪−③

okamakoto2005-01-14

かねてテレビ、中でもNHKの功罪について問題意識を持っていたので昨年9月9日、国会の総務委員会で最近のNHK不祥事についての参考人質疑が開かれた折、東京の一ローカル局「東京MXテレビ」で国会中継を聴取した。(NHKは中継しなかった)


お陰でNHK海老沢会長及び専務理事、経営陣の顔ぶれと経営実体の一端が判り大変有意義であった。不思議なもので映像が入ると質疑の内容もさる事ながら質問する各党委員、及び経営陣の力関係のみならず夫々の理事の人柄まで透けて見えるから不思議だ。だからこそ海老沢会長としては何としてもこの中継は回避したかったに違いない。  


その際、国会議員の質問に回答する4−5人の理事は何れも「会長のイエスマン」ばかり、特に専務理事は凡そジャーナリズムの世界には不似合いの「倣岸無礼」な会長の「ガードマン」との印象を受けた。与野党の中で1−2鋭い質問をした方もあったが概して「内輪の質疑」の域を出なかったように感じた。NHKの「事前の根回しが効いている」感じがするものだった。当日この時間帯のNHK総合は終始渋谷の公開広場からの取るに足らないギャグ番組を全国に流し続けていて、驚いた事に晩7時のニュースでも1週間前に起きたロシアの学校占拠事件写真の分析状況がトップで、プロ野球労使交渉問題、更には新聞で言えば三面記事に類する殺人事件が大げさに取り上げられ、後半になってようやく国内政治のことがあって、付け足しのようにこの委員会の模様が簡略に報じられただけであった。(衆知の事だが後日NHKは当日の要点を編集の上短縮して放送した)


この事に関連して「NHKが信頼を回復する為に」と題して11月7日NHK労組主催のフォーラムが、直ぐ近くのホールで開かれ傍聴させて頂いた。当日パネラーとして5人の方が壇上で今のNHKの現状について発表討論あり、NHKの職場が「最近管理が厳しく窮屈になっている」とのパネラーからの報告もあった。(当日のフォーラムは当初、組合員だけの予定が2-3日前に「24時間緊急新潟震災関係中継放送番組」が組まれ、「全員召集」が掛って大半の出席予定者が出席不能となり、「一般参加も可」になったとの事だ。尤も「地震」「災害」が理由ではどこからも文句も来ないし、「大義名分」も立つからたろうが)。壇上の委員長の苦悩の表情からもNHKの最近の職場のピリピリした空気が伝わってくるような感じられた。参加したNHK職員から何か意見があるかと思ったが全くなく、当日後ろの方に監視役の管理職の人が何人か来ていたそうである。


尚、後日、NHK労組は第2回のシンポジュームを組合員のみ非公開で開き、その際に、前回もパネラーだった田原総一朗氏から「何か意見を言ったらどうだ」とけし掛けられ、出た意見が「ここで意見を言えば、即、30分以内に上層部に知れ、自民党のご機嫌を損ね、配転になって一生地方へ回され僻地暮らしになる」だったと言う(週刊誌情報)。今、国民に最も影響力の強い報道機関に暗雲が立ち込めているのではあるまいか。