テレビの功罪―④

okamakoto2005-01-15

NHKでは「内部での使い込み、流用」等に関連して今、会長の進退が問題になっている。


私は、むしろ使い込みの事よりもNHKの「ニュース報道の取り上げ姿勢」をこそ問題にしたい。 公共放送の使命で最も大事なのは「ニュース報道」だと考えているからだ。民放は元々スポンサーの関係もあって「公正さ」については「スポンサーが絶対」であり、「大手広告代理店」の影響力も絶大で、大分危うい、との懸念を持つのだが、NHKはその点、国民にも「ニュースの信頼性が高い」と思われて来ているのだ。だからこそそれを担保するものとして「聴取料」が長年税金のように正当化されて来たのだろうから。ところがそれを裏切るようなNHKの実情を見ると黙視できなくなってしまう、その事について先ず指摘したい。


第一に、この頃「NHKニュース報道」で「事件もの」―特に災害等があると新聞で言えば「三面記事」になるようなものがトップに来て、長々時間をとり、国際問題や、政治の事が付け足しのように報道される事が多くなって来ている、そのように感じるのである。新聞の場合、一般紙では国際関係から始まり国内政治・経済・金融・地域・社会(面)へと移る。多分外国の新聞・放送も大体そのように取り上げているように思う。ところがNHKは、全国隅々まで同一ニュースを流しているにも拘らず、「事件モノ(殺人・傷害・スポーツ・ローカルの事件モノ、時には災害」をトップにして、(BSでは外国まで)放送している。ニュース報道を取捨選択をする「報道部」乃至は「整理部」のあり方の問題なのかもしれない、さもなければ国際部や政治部の取材力が落ちたのか、それとも経営トップの意を汲んで恣意的に「政治家や与党筋から文句の出ないような無難な社会問題の報道」に「自発的に」重点を置き、シフトしていると言う事かも知れない。NHKには他の民放が太刀打ち出来ないくらい優秀な人材が沢山いる、そして彼らはジャーナリストとして常に問題意識を持って働いているはずである。彼等に出番がないのか、それとも「やる気」や「芽」が摘まれてしまっているのか、という事である。


第二点はテレビだけでも6波と放送が多様になって、且つ24時間放送になった為か、総合放送は実に「くだらない番組」が多くなって来ている。 所謂「ゴールデンタイム」を使っての民放と殆んど差異のない、目を覆いたくなる「のど自慢」「お江戸でござる」に代表されるような、歌謡・クイズ・お笑い番組、愚民化路線には、NHK首脳部の感覚を疑いたくなる。NHKは民放と最も違うところは「視聴率」を気にせずに「良い番組を報道する」ことにあるのではあるまいか。NHKは、その絶大な影響力を駆使して今のように「国民大衆を愚弄にする」ような放送機関であっては「NHK不要論」に連なり、明日はないと思う。