若者の犯罪は増えてはいない

okamakoto2005-01-20

さて、若いT君と話していて現代の若者は世間で言われるほど悪くはなっていないのではないかと思うようになった。身近に真面目で真摯な青年が多いからである。


気になるのは政府で、凶悪事件低年齢化に対し「14歳未満の少年」に迄刑法適用の動きがあるが、果して 14歳から20歳までの少年犯罪の現状はどのようになっているのか調べてみる事とした。法務省から出版されている「平成16年版犯罪白書」で「少年刑法犯検挙人員及び人口比の推移」を見る。統計は敗戦直後の昭和21年から平成15年までに亘る58年間の推移で検挙人員・人口比が数字及びグラフでも示されている。これで見ると少年刑事犯の検挙数が最も高いのは昭和58年前後で31万7438人で、少年人口10万人比検挙者も1000−1800人に近い。それに対し最近の平成15年は20万3684人、少年人口10万人比1552人で、その間漸減している。


又、一般刑事犯の少年・成人別検挙人員及び少年比の推移を見ても確かに昭和21年から55年代までは成人が毎年の検挙件数が25万人―28万人台で(昭和55年から平成3年ごろまでは少年犯罪が成人犯罪を上回った期間)もあって、その期間は少年の検挙者数15−16万人台から26万人台までに急増した時代もあった。然しその後の平成年代に入っては、少年検挙者数は格段に増加はしていない。具体的には平成15年の一般成人検挙者23万5476人に対し少年の方は16万5973人である。

所謂「少年の凶悪犯罪」(強盗・殺人)犯の検挙人員を見ても平成15年の少年犯殺人事件96件、強盗事件1800件は、昭和20年−45年代の殺人事件約300件、強盗事件2000−3000件から見れば決して増加しているとは言えない。むしろ漸減傾向にあるとさえ言って良いだろう。因みに外国の統計と比較する。主要各国別10万人当り、主要犯罪(下欄殺人事件)発生率件数(カッコ内発生率)は下記の数字である。


         フランス    ドイツ     英国     米国     日本
2002年犯罪(率) 6.932(26.3)7.893(52.6) 11.240(23.6)4.119(20.0) 2.240(20.8)
同 殺人事件(率)2.415(4.1) 2,664(3.2)  1.862(3.5) 16.204(5.6)  1.489(1.2) 


勿論、何時の時代でも犯罪はないに越した事はないであろうし、犯罪はその時の社会的、経済状況の背景もあって一概にこの数字でもって総て判断できる事ではないと思う。何時の時代でも子供や少年達の行動は大人の世代の鏡でもある。確かに現実には「親殺し事件」「行きずりの理由なき殺人」や「メール友達への傷害事件」等々、テレビ・新聞等マスメデアを通して毎日のように知らされる衝撃的事件は見過ごす事の出来ない事ではある。 然し、むしろ「政治の不正」、「貧富の格差拡大」の現状抜きで、マスコミ、中でもテレビが扇情的に事を大きく取り上げる姿勢の方が異常ではあるまいか。