昭和「魔法の森の時代」


今まで「昭和の戦争時代」を振り返って、自分なりに検証をしてみた。司馬遼太郎氏が言う通り、昭和時代は「魔法使いが日本という森に魔法を掛け【魔法の森】にしたのではないか」(司馬遼太郎著「昭和と言う国家」から、NHK出版)
氏の言葉を借りるまでもなく確かに昭和は特異な時代だったように思う。振り返ってその特徴を集約して、幾つかの項目で記述してみようと思う。


先ず「組織」の問題である。敗戦で一旦は「昭和20年以前」と「昭和20年以降」とは変換したのである。このパソコンで例えれば、機械そのものは「ハンマーで叩き壊した」のである。進駐軍が入ってきて自分達の学校(旧制中学)の奉安殿(天皇の写真や詔勅等が格納してあった堅牢な建物)も叩き壊したし、憲法も改正された。天皇は「神様」から「人間」に変わられた(21年1月1日「人間宣言詔書)


貴族・華族制度もなくなったし、学校制度も6・3・3に変わり、授業内容も変わったし、民主主義も入ってきた、確かに日本中が「ガラッ」と変わったのである。司馬さんの先の例えで言えば「魔法の森の《魔法》が解けた」のであった。然し「魔法が掛ったまま」か、さもなければ、何時の間にか「魔法の掛った状態」に戻って来つつあるように思う。何故だろうか、と考えてみたらパソコンで言えば「ソフト」が全然変わっていないのだ。同じソフトを使っているのかもしれない。


その典型が「政治」と「官僚組織」だろう。このような事は自分の体験し確認した事で言わないと「不実」になり兼ねない。実は自分が20年の銀行員生活を辞めて、創業した会社の仕事は「官庁」との関係があった。その官庁から人を迎える事になった。本省の「総務課人事係」が一手に「斡旋」をしてくれる。そこではOBの総ての面倒を見ているのである。