世論なるもの


近衛氏なりに冷静に判断されているのだが、最後の下りで「世論」に反発されているのが印象に残る。在職中は圧倒的に「世論」は近衛氏を支持していたのである。当時の「世論」とは主に新聞を指しているのだろうが、現代ではさしあたり「テレビ」がその役割を果たしているのだろう。「世論」は、氏をもてはやしたのである。


最後に、死を賭けるくらいなら、首相として途中に、何度も戦争を止める機会はあった筈である。そこが貴族政治家の弱さであり、限界なのではなかろうか、氏は、佐川1億献金事件に嫌気し、政権を投げ出した「細川護煕氏の叔父さん」に当る。