「借りて下さい」


銀行は担保になる不動産さえあれば、客に借入を勧め、与信の供与に狂奔した。「土地神話」もあったが、当時は借入れに応じない向きは、むしろ愚鈍と見る風潮さえもあった。


当時の税制もバブルを引き起こす要因であった。

路線価は実勢価格のほぼ半値で、相続税対策として銀行借入の債務と土地購入の優位性があった。富裕層はマンション投資をすると不動産の含み益には課税されない反面、金利減価償却費は給与所得と損益通算が可能であり、節税目的の需要を生んだ。


又、法人には、元々税法上の特典が多い事も大きな誘因であった。
取得・保有の諸経費は勿論、借入金利も経費処理可能だし、周知のように法人には本来が相続税と言うのはないのだから。
銀行の貸出残高は92年3月末で450兆円に達していた。


カネ余りの現象は国内に留まらず、既述のように、銀行・損保等の機関投資家を通して海外に奔流のように流れて「日米構造協議」で日本の内政干渉までも招く結果となってしまった。