「二進法」社会


近世流行の「勝ち組」「負け組」と言う語は、市場原理から始って、今や教育・受験から恋愛に至るまで使われる。


誰もが「勝ち組」になる事を目標として「勝つ」と言う結果だけが尊ばれて勝者はどこまでも勝ち抜こうとして手段を選ばない。


この現代の「弱肉強食」には秩序と言うものがない、日ごろコンピューターのお世話になっているせいか、人間の思考まで「勝ち組」「負け組」だけで判断する「二進法」になってしまったのであろうか。


以上は9月25日付日経新聞「漢字言葉の散歩」で「鳥獣界より秩序がない(?)、人間界」と題し、中国古典学者興膳宏氏が寄稿されている文章の一部を転記させて頂いたものである。


そもそも、鳥獣界では、弱者を根絶やしにしてしまうような「強者の一方的殺戮」は、あり得ないそうである。


現代の「人間社会の無法ぶり」を、興膳宏先生は「漢字言葉の散歩」の中で、以上のように鋭く皮肉っていらっしゃるのだ。