国の指導者,フランスの事例

okamakoto2005-10-07



国の良し悪しはその国の指導層のレベルによって決まる、その指導層は一体どのような経歴から選抜され訓練されているかを他国の事例に見たい。


偶々、今月の日経新聞私の履歴書」はフランス企業ルノー会長ルイ・シュバイツアー氏の経歴が語られている。


氏の「私の履歴書」には、ご自身の国立行政学院での経歴、会計検査院での経験、主要企業の国有化政策でルノー社に官房長として派遣される経緯等が書かれているので、それを参考にフランスのエリート層の一端を見る。


フランスでは支配体制を「エナルシー」と呼ぶそうだが、大体が「国立行政学院(通称ENA)」出身者を指すのだ、と言う。氏はその典型的「エナルシー階層」である。


ENAへの受験者は大変な競争率で、全仏から優秀な受験者約1500人、そこから年に僅かに100人程度に絞り込まれ選抜される、と言う。


国立行政学院での履修期間は約24ヶ月、そのうちの半分が企業研修や地方公務員として激務に就き(トレイニ―)、半分の期間は激しい授業と試験に終始するそうだ。


試験は、口頭試問、筆記試験等で、試験は公正を期すため、氏名は伏し番号のみとされる等、実に厳格を期すものだという。


その激しい競争の中で修了者成績上位10位までが最高のエリートと目される会計検査院または国務院勤務となる。シュバイツアー氏もまた選抜された人物である。


フランス歴代大統領や首相の多くは「エナルシー階層」なのだと言う。例えばジスカールデスタン大統領・シラク現大統領・ロカール首相・ジャバンデルマス首相等々である。


勿論、高級官僚と言っても役所にじっと座っているのではなく、シュバイツアー氏のように、国の出先機関や国営化された大企業の官房長として改革を任されて立て直す事も実行する。


このような「エリート制度」が良いか悪いかは大いに意見の分かれるところだろう。歴史もあるし、お国柄もあるだろう。