若き日の新宿西口「五目並べ」

okamakoto2005-12-09



今から50年も前の1952年(昭和27年)、転勤で田舎から東京勤務となって間もない頃の体験である、銀行独身寮は新宿西口から10分余りの距離にあり、朝夕の通勤には新宿西口広場を通っていた。


広場と言っても、当時の西口には2両連結のグリーン色の京王電車が駅前から甲州街道の路面を走っていた時代で、広場は所狭しとバラックの飲食店がひしめいていて、終日飲食街独特の臭気と卑猥な雰囲気に包まれていた。


その広場の一角には、決まって口上豊かに安物を売っている「香具師(ヤシ)」や「碁」「将棋」の「にわか道場」が出張っていて、そこには見物の人だかりが絶えなかった。


立ち止まって、見物人の一人として「五目並べ」を見ていた時のこと、「次の一手の正解者には賞金を出しましょう」、と言った類の「ゲーム」であった。


ご丁寧にも卓上には「正解者賞金(確か50円だったと記憶する)が呈示されていて、暫し盤面を睨んで局面を検討していた自分の手が伸びて「ここだ」と思うところに「一石」を投じる。


すかさず相手が応じる、こちらもあらかじめ考えていた次の一手を投じる、相手もそれ対応する、確かその辺りから形勢が逆転するのである。


すかさず相手「そこは禁じ手だ」と云われて、それでは相手の方が先に五目完成で「万事休す」なのである、「高みの見物人」の笑の中で「しまった」となった。


小さい頃から「五目並べ」には多少自信があったつもりでいた。心のどこかに「50円札」(現在の価値にすると確か千円くらいか)に目が眩む気持ちもあったのかもしれない。直後から「とんだ事」になってしまった。