日本「アメリカ化」への尖兵


たまたま1990年前後はアメリカでの対日貿易赤字の問題で対日批判が高まり、「日米構造協議」更に(現在も続いている)問題の「年次改革要望書」はそのような日米関係を背景に出てきていた。


「日本は独自では変えられない」「異質な国」である、従って「外圧で日本の思考・行動様式を変革し、あわよくば破壊してしまう」このようなアメリカの露骨な意図が底流にあった。


それまでの日本は「官僚国家」と言われるように、実際の政策は官僚が作り、政治がそれを追認してきたのが実態だった。だから政治家は終始不勉強であり自分の選挙のことだけを考えてきた。


一方、アメリカでは「国益にとって何が重要なのか」その時々の政治・経済課題は民間の研究所やシンクタンク(頭脳集団)が競い合って議会に提案するシステムになっている。


そのアメリカの研究所・シンクタンクには著名な学者・有力政治家・有能な官僚が所属し、常時問題毎に議論を重ね提言している。


日米問題では日本に詳しい人間を総動員する、まして身近に協力的な日本人が居れば最も利用価値があると言うものだろう。


事実、通商代表部ウイリアムず次席代表は「戦略として日本国内にアメリカの主張支持者を見つけ出し協力させていく事はアメリカの国益上大事な事だ」と議会で証言している。


既に竹中氏にはハーバード大学客員教授時代に築いた人脈があり、加えて日本政界トップの身近な存在となり、以降竹中氏は国の政策策定にはアメリカ方式を多用する。


従来の日本の政策立案は官僚に主導権があった、それを「政治主導」で、規制緩和・競争社会・民営化の方向に転換させ、「日本のアメリカ化」への尖兵役を果たすのである。



(写真は東京・汐留・電通ビル46階から銀座・皇居方面)