変容した日本


いずれにしても所得と資産格差は確実に分化し拡大している現実がある。これには大きい要因として先ず税制の歪みがあると考えている。


元々、日本は「和を以って尊とする国」の長い歴史があった、例えば「下流社会」にも「安全ネット」が用意されて来た。


保険制度を例に見る、かって10年程前、訪米した際にアメリカでは皆保険制度ではないため、貧困層は病気になっても実に悲惨だと聞いた。


日本は「国民皆保険国」として国民総ての人々が安心して医療も受けられる世界にも誇り得るシステムを持っていた。


ところが二極分化の結果、健康保険料の滞納世帯が昨年6月時点で160万世帯に達し、それらの世帯には保険証の返納を求められているのだそうだ。


貧富の格差拡大で保険料も払えない一人住まいの老人だとか、若者のニート層等が増えてきて底辺部分が破綻に瀕しているのだ。


元々の自民党内閣では「強いものに手厚く」「弱い層は過酷な税制」であった、更に拍車が掛かったのが15年前の竹下内閣での消費税導入時の格差税制「金持ち資産家向け」大減税である。(その際に物品税・証券取引税等も廃止した)


更に小渕内閣の恒久減税、「戦略会議」で提唱したのが「創造的競争社会」「努力した人が報われる社会」であった。言葉としては如何にも尤もらしいが、実際の目指した政治は「弱者切り捨て」「強い者勝ち社会」そのものなのだ。


以降十数年たって小泉―竹中政治で「アメリカ化」が露骨に実施され、日本はすっかり変容してしまった。



(写真は東京・新宿Lタワー36階から見る)