家庭環境

okamakoto2006-01-24



家庭の問題を書くには、道義的にも、先ず自分の幼い頃の事から記すべきだろう、恥ずかしい事だが我が家は父と母とは「不仲」だった。


先代に子供がいなかったので、既に後家さんになっていた祖母の元へ、親戚筋から教職にあった父が養子に入り、そこへ母が別の親戚筋から嫁いで来た関係からか、母がしょっちゅう姑と、父に苛(いじ)められていた。


代々の家柄で、一応はその地方での地主だったが、敗戦を機に農地開放政策で一転して没落階級に堕ちた。そこに嫁入り前の3人の姉と妹を抱え母は実に苦労した、男は自分一人であった。


両親不仲の原因は嫁入りを前にした「姉妹の嫁入り支度」の問題が主体であった、娘可愛さに、隠れても呉服や道具類を出入業者から仕入れようとする母とそれを阻む家計を握る姑、姑に従う父との醜い言い争いを見て子供達は育った。


当時の家庭の主婦は殆どそうであったように、母は朝早くから夜遅くまで家業の農業から家事全般―掃除・洗濯・食事・子供達への弁当作りまでをこなし、殆ど寝る間もない日々であった。


子供は幼少期、家庭環境、特に両親から最も多くの影響を受ける、と思う。自分達はそれ故か必ずしも明るくは育たなかった。然し母想いだったし、兄弟仲は逆に母に心配かけないよう協力し合っていたように思う。


同時に、自分達はお互いに大きくなったら「夫婦仲だけは良くしないと子供が不幸」なのだと身に沁みて知ったように思う。「子は親の背中を見て育つ」のだろう。


偶々、今朝の日経新聞連載の「私の履歴書」で、作家の北杜夫さんが「父の思い出」の中で、「父は何事も完ぺき主義でごみの掃き方までも厳しく躾られ、それが今の自分の基礎となった」、とあった。