回想


年令のせいだろうか、この頃、寝つきも悪く、又、夢を見る事も多くなった、不思議な事だが、その夢に出る「吾が子たち(二人)」は、決まって未だ「よちよち歩き」の幼い頃である事が多い。


二人の子供も、幸いに今では共に孫もいる年令で、夫々が一家を成してくれている、特に、上の娘の子供達(孫)は大学生と高校生で、「子供」と言うと孫達にまで叱られるに違いない。


最近ようやく半世紀にも近いその当時の「田舎家の整理」の事が夢に出なくなったが、直後はよく夢に出て来てうなされたものだった。


その当時経験した「異様な体験」は、今まで妻子にも一度として口外した事もないし、勿論、他言出来る事でもないが、この際ここで記しておくことにしよう、と思う。


実は、母をT市「新居」に疎開させ、妻とで旧宅の整理に取り掛かり、家屋の売却先も決まり、建物の取り壊しも始まり、諸道具も次々運ばれていた最中の頃の事である。