「引越」

okamakoto2006-02-12



退職後は「独立する事」は心に決めていたが、具体的な目論見については兎も角「辞めてから考えよう」と思っていた。


先ず、真先に、家族の引越先を決めねばならない、早速駅前の不動産屋に飛び込み「この場所から真南の方角で、直ぐに入れるアパートがないか」と尋ねた。


地図で見ていて「丁度、好い物件がある、少し遠いが真南だ、案内しましょう」と言う、車で案内されたのは同じ区内ではあったが区の南端、周りは未だ畑で、木造二階建て1階部分2Kの狭いアパートだった。


急いでもいたので、ここを新しい引越先に決めて1週間後に家族を引越しさせた、子供達には急な引越しと、不本意な転校となったのだが、妻が何とかなだめてくれた様子だった。


部屋は6畳に4畳半の2部屋だけ、それに台所がついただけのもので、「何れは、もう少し広いところに引っ越す積り」だったが、結局この狭いアパートに6年も住む事になった。


実は、その後この場所から、二人の子供達を大学に進学させ、二人共に「素直で優しい」「一人前の立派な社会人」に育ててくれたのは、他ならぬ妻であった。


当時自分は独立直後で収入も侭ならず、一体、どうしてその時に家計をやり繰りしてくれていたものか、今でも不思議な気さえする。