出資者


KZさんには半年後に事業を株式会社組織にした際もそうだが、その後「本命となる会社」にもご出資頂き、大変「公私に亘る」お世話を頂いた。


或る時には「両国国技館に大相撲を見に行かないか」とお誘いを頂いた事もあった。その時には真近かに見る大相撲を心行くまで堪能させて頂いた。


「いや、予定していた取引先が急に都合が悪くなってね、切符が余ったから誘ったんだよ」、観戦が終わっての食事の席でさりげなく仰るのであった。


KZさんは東京へは単身赴任で、製薬会社顧問を辞められてからは、何年ぶりかで北陸の自宅へ戻られ悠然と過ごされていた。


年2回は北陸のご自宅にお伺いして近況をご報告していた、その折は自分の事のように喜んで頂いていたのだが、十年程前のこと、全国紙面上で訃報に接した。


今でも、自分がそのような立場に立った時に、果たしてKZさんのような事が為し得るだろうか、と、自問しているのである。



(写真は金沢・石川城・博物館前の大きな松)