母東京へ

okamakoto2006-02-27



実は昭和57年3月のことだから、大分後日のことになる、T市に住んでいた母は、老人特有の手間の掛かる状況となり、且つお世話頂いていた方も病弱だったので、妻と相談の上で、下町に移り住んだマンションに母を迎える事にした。


母には、「孫の顔を見るため」と言いくるめ、大きなワゴン車を借りて、自分の運転で、仏壇や家財を含めてT市から母を東京に連れてきた。


東京での母は、近所の公園が気に入って、最初は妻が案内していたのだが、そのうち一人で出かけ、「今日は何処まで行ってきた」、「こんな事があった」と、嬉々として妻に語っていた。


勿論その頃には、会社の方も総て社員に委ね、妻は母の世話が主体となっていた。母は、思い煩う事もない毎日だった故か、痴呆症がひどくなって、夕方には「家に帰る」と言い出したりして妻も大分手こずったようだ。


病状が進み、最初は渋谷の病院に、更に八王子近く高尾の病院に3ヶ月毎に転医となり、然し、最後は成城に近い「東京多摩病院」で2年間もお世話になった。