ささやかな「自分ごと」


新事業は、一時期、業界では名の通った会社になった、「上場」が未だ一般化しない10年前に、紹介者があり会社株式の上場を考え、大阪のC社と資本提携した。


「1億円の資本」のところへ「3千万の資本」と、「人間3人」を送り込まれ、その上で良いように料理されてしまった。送り込まれた内の一人は今思っても「ヤクザ」そのものだった。


「社長を息子に譲ったらどうですか」、「会長から顧問でどうですか」、更には「相談役でどうですか」、「株も息子さん達に全部譲られたら彼等もやる気になる」、「いや、何か相談事があれば声を掛けますよ」、だった。


「天国」と「地獄」を見、実体験してきた自分は個人として、決して過去を恨んだり悔やんだりはしていないが、心苦しいのは妻や子供達に言い尽くせぬ苦労を強いたことである。


然し、結果的には、経験した者だけが知る「天国」と地獄」の「苛酷な落差」だけは実感出来たと思っている。


確かに、創業者としての自分は甘かったし、その時に或いは魔が差したのかもしれない、或いは「おごり」があったのかもしれない、その時「ここらで楽をしようか」と思ったのも事実だったのだから。


来月、3月からは、既に自分の中でも過去の事となりつつある創業時34―35年前に思いを馳せて、記してみようかと考えた。


何分、既に時効になっている事だろうし、大変お世話になった方々の中でも、既に鬼籍に入られた方も多いのである、それらの方々にもお許しを得ようと思う。