アルミの魅力

okamakoto2006-03-06



蛇足ながら、その際にY特需部部長の案内でS社のアルミ工場を見て、実際驚いてしまった。アルミはボーキサイトから抽出される百パーセント輸入材で「電力の缶詰」とも言われる事までは知っていた。


然し、アルミの塊「インゴット」を高熱処理して型材を押し出す工程や、更にアルマイト皮膜させていく工程は初めて見た。それらは殆どが一貫した「流れ作業」といって良いものだった。


それはあたかも、捏(こ)ねられた「そば粉」から、細い「そば」が出来上がり「茹(ゆで)」上がって行く過程を連想させる。


それらの型材は、表面は薄く平坦に見えても、その内側には複雑な形状と仕組みが内包されていて、他の型材との組み合わせや取り付けが自在に出来る構造となっている。


作業工程は全自動化され押し出された銀色の型材は自動的に20―30メーターに切断され、次の工程に送られる。


次の工程では、表面洗浄を経て、皮膜のアルマイト加工・着色、所要の長さへの切断、梱包までが殆どオートメ化されていて、出荷または工場内の無人倉庫に格納される。これら作業が殆ど少数の人員で完結される。


先刻、打合せの席で、部長から「将来どの程度の数量が出るか」と聞かれ、返答に窮したのだが、部長から聞かれた理由が工場を見て飲み込めた。


「全自動」になっている工場からは、自分が持ち込んだアルミ標識の1千基や2千基では、多分30分も要さない瞬時に作業が完結されるものだろう。


それは規模の大きい「オートメ化された工場」にとっては「取るに足らない」少量発注に過ぎないだろう事は容易に想像できた。


ましてその前段の複雑な形状への「設計」段階から、押し出すまでの「金型製作」には長時間の労力と多額の投資を要するのだろう。


それらを償却するのは少量生産・出荷では採算が合わず、簡単には引き受け得ないものだろう事が素人目にもはっきりと判った。


帰り際に、アルミのピース(切り端)を頂き、それが後々関係者にアルミの良さを認識していただく上で、大変役立ったのだが、具体的発注までには、実に2年近くを要する事となる。



(東京・銀座・歩行者天国