利権屋

okamakoto2006-03-10



当初あれだけ足しげく来社していたW氏が、その後は会社には来ないで、専らS社の東京支社「I氏」を相手にするようになった、それも総会屋O氏を伴って。


実質的会社の「決定者」は社長ではなく「S社のIさん」と踏んだに違いない、事実自分もIさんに相当依存していた事も相違ない事だった。


東京支社の「I さん」は、京都大学卒業後ある商社にいて、S社には最近入社されたばかりで、実に頭の良い、人柄も良い方だった。


S社では業界情報等のアンテナ役を果たし、経営陣の実力者O副社長のパイプ役になっていた。I さんがS社からの派遣役員に指名されたのは自然な成り行きだったようだ。


I さんにとっても、今回のD社役員兼務は、過去の豊富な経験を生かし「水を得た魚」のように「腕の見せ所」との、思いもあったに違いない。


S社I 氏が口の上手い権利者のW氏と親分O氏に、すっかり「洗脳」されている事はI氏の最近の言辞からも読み取れた、あれだけ慎重論を吐いていたI 氏が日に日に権利者に傾倒して行く。


「東京だけでなく全国が市場じゃないか、W・O達を味方にして売らせたらいい、それには先駆者に払うものは払わないといけない、そして会社を大きくするんや」


既に権利者のW氏は他社とも「意匠権の使用契約」を締結していた。その契約書を見せられ、「こちらが駄目なら」「そちらにする」と言われてはチャンスを逸すると思ったとしても止むを得なかった。


I さんが「この会社は、おもろい会社になるぜ、アルミを全国に普及するチャンスでんなー」、「W氏と提携して上手く利用して行かなあかん」Iさんは得意の時に関西弁が出る。


それは会社創立後3ヶ月余り経った年末時点であった、I 氏から「社長、契約しょう、取り敢えず300万払ってや、後の300万は、後でS社がロイヤリティで処理する、その間2―3ヶ月間立て替えといてー」と。


自分は、これはてっきりS社の意思と受け止めた、契約書はI さんがW氏と打ち合わせて原案を作りW氏が持参したものだ。既契約のH社分を参考にしたものだった。


それが口の上手い「詐欺的手法」で、W・O氏に乗せられた事は、ようやくの思いで600万を都合して年末の30日にS社の応接室でW氏に支払った後で判った。