苦難の時期
自分へのS社O副社長からのお叱りは「尤もな事だ」と思った、社長である以上、他の人の所為にするわけにはいかない、ここは言い訳をせず、事業で実績を出すしかないのだ、と。
自分は新事業に賭けながらも、長期戦に備え、一旦は初心にかえり、その間は創業会社で食いつなぐしか方途はないと思い定めた。
その事があって以来、IさんのS社内での立場も苦しくなったようで、I さんからは全く連絡も途切れてしまった。
同じ役員だったMさんも会社の前途を見限ったのか、全く音沙汰もない、それに約束だった会社への出資も、とうとう実行されず終いになった。
最も極端だったのは権利者のW・O氏である、大金をせしめて、味を占めた故だろう、それ以降パッタリ、連絡も、足も途絶えた。
世の中の「潮目」と言うのはそのようなものなのだろう、と、その時思った。暗い年の幕開けであった。