創意工夫


標識の組み立て製作も、そこでの連日連夜の家族総出の作業だったが、カラーアルミ屋根の製作過程も実に楽しいものであった。「モノ作り」の醍醐味とでも言うのだろうか。


オランダの会社の製品は、実に性能もよく、魅力的なもので機能も独特なら塗装も実に素晴らしく耐久性のあるものだった。


余談ながら、今回約30年も前の設置現場の一部を見て廻った、夫々が当時の鮮やかな色彩をキープしている現場に出会って一入り懐かしくも心強く思っている。


フラット(平ら)では面白味がないし、第一風雨にも耐え難い、何とかR(曲線)を付ける工夫を重ね、幾つかの形状を試作して、設計事務所で構造計算を出して、図面化し、「CAS商品」と名づけ規格化した。


最近「構造計算偽装」が社会問題になっているのだが、実は自分達は当時から対風圧・耐震性に最も神経を使っていた。


構造的にも意匠的にもシンプルである事に越した事はない、然し公道上に建てる公的な施設である、万一ということがあってはいけないと考えたからだ。


その際の一級建築士のS先生は実に几帳面な方であった、常に安全性を120%以上を取り、頑丈すぎる程だった、その時の規準図がその後の、標準図となって行く。


サンプル製作もおえて、第一号機を何処にするか、だったが、今回もK電鉄が引き受けて頂いた。それはK電鉄主要駅「T不動」駅前停留所であった。


第一号を建設後、各社から見学・問合わせ、更に受注も相次いだ、各社にはシンボルカラーがある、なるべくそれを採り入れ各社別に特徴を出すように努めた。


或る日、東京都交通局からも至急に設置したいとの連絡が入った。それが重要な意味を持った事は後でわかった。



東京都交通局営業所前のカラーアルミ上屋の一例)