「拉致悲劇」は戦争の落し子


拉致事件の悲劇は確かに不幸な出来事ではあるが、元々戦争による副次事件に過ぎない、戦争による死者は第二次大戦では6千万人(第一次大戦六百万人の10倍)にも及んでいる。


その6千万人の死者には夫々に家族もあり、子供もいる、世界中で多くの悲劇が起きているのだ、勿論今のイラクでも日々起きている。


処で、北朝鮮による拉致問題は、朝鮮戦争後「東西冷戦の真っ最中」で起きている。1978年、今から28年も前の事ながら北朝鮮にとっては戦時態勢下の事であった。


悲劇的な朝鮮戦争は1950年6月に始まり、同一民族が敵味方に分断され全土を戦場にして押しつ押されつ、南にはアメリカの正規軍が支援し、一方の北朝鮮には、最終段階で中国が義勇軍を送って東西陣営総力戦の様相だった。


53年に休戦交渉は成立したのだが戦闘での死者数だけでも、北朝鮮250万人、韓国市民100万人、韓国軍人5万人、米国軍人5万4000人、中国軍人100万人、南北同胞の離散家族は1000万人も上ると聞く。


戦後の南北は38度休戦ラインを挟んで、相互に疑いと憎しみとの睨み合いが続いた。その間に様々な相手への中傷合戦、相互陣営への誘拐を含む謀略合戦も続いて来たのである。米朝関係も未だに法的には「戦争状態」が続いている。