日米安保体制と「天皇」の役割
1958年10月6日ニール・H・マケルロイ国防長官が来日し、天皇と面会している、アメリカ国立公文書館にはその時の会見記録も保存されている。
それによれば、一通りの挨拶が終わった後、天皇から「強力なソ連の軍事力に鑑みて、北海道の脆弱性に懸念を持っている」と述べ、その上で天皇はアメリカ側の意見を求めた。
マケルロイ国防長官は、「アメリカはこの地域の平和と安定のために日米協力が特に重要と考えている」と答えた。この時の印象として長官は、天皇が、アジア・太平洋沿岸島嶼礁地域(<註>アリューシャンー・千島―日本列島の弧)を、アメリカと同じ目線で理解している事に感心している。
天皇も「日米協力が極めて重要だ」と応じ、「軍民両方の領域に於けるアメリカの日本に対する援助に心からの感謝」を「感動的に」示した。天皇は以前からも事ある毎にアメリカへの感謝の念を述べている。