医学の進歩


自分は、内視鏡による大腸ポリ―ブ検査を受けたのだが、検査当日の受検者は十余人も長椅子に腰掛け順番待ちをしていた、大部分が老年組、その中で自分の横で待つ青年は若くて「丁度今年40歳」だと言う。


顔色が青白く、素人目にも直ぐに入院した方が良さそうだが、「明日東南アジア(タイ)へ海外出張を命じられている」ので、「今日は検査だけ受け、日帰りで帰らねばならない」、と言う。


自分の方は、検査前に点滴を受け、診察台に載せられてから「軽い麻酔剤を投入」されたようで、もうろうとして全く痛みも感じない内に終わり看護婦さんの手押し車で部屋に戻ったのだが、時計を見るとその間、小1時間だったように思う。


内視鏡検査で、「ポリ―ブ1箇所あり、切除した」、と、術後担当医から告げられ「悪性ではないようだ」とも付け加えられた。今の我々は、全く医学の進歩を享受していると言うべきなのだろう、と痛感した。


我々世代、そして今の世代もそうだが、「働け働け、そうすれば国も良くなり、次の世代も必ず良くなる」と、然し確かに自分達までは良かったのかもしれないが、この後は読めない。自分達は「老人天国」を味わっているのだから。


それに反し現在の若い世代の何と言う気の毒なことなのか、同じ病室の3人の方々を見るにつけ、現在は「若い人達受難の時代」ではあるまいか。


最近街を歩いていても、老人ばかりが目立つ、自分もその一人だが、若人たちが仕事に追いまくられ、先が読めない時代と言うのは、どこかで日本は間違ったように思えてならない。


25年前と、一昨年再訪した「スゥエーデン」の国家福祉に対する考え方を時折思い浮かべる、要は国家の運営と、それを決める民主主義の成熟度の問題ではあるまいか、「安倍新政権発足」のニュ―スを複雑な気持ちで聞きながら痛感している。



(写真は東京・港区「リバーサイド」風景)