「危険な花火」への誘惑


今、町内には、はっきり判っているだけで「花火を持っている」のは勿論「米田君」を筆頭に、「英田君」、「露田君」、「中田君」、「仏田君」、「印田君」、「派田君」と7人は居る、こっそり隠し持っているのもいて、それを持つ事が「町内実力者」とみなされることから「花火への誘惑」は、北田君だけではないのである。


近隣に位置する「日田君の立場」も微妙であり揺れている、「北田家に昔連れ去られた家族が居る」といって、家族の奥さんがボス米田ボスに直接会って、「是非家族を帰してくれ」「北田を懲らしめてくれ」、と頼み込んだ経緯もある。


最近では「日田家」の中には「我が家も花火を持とう」と言い出す者も出て来た、「花火は持たない」と言う「家憲」を変えようという動きもある、ボス米田君もさすがに「それは町内にとって悪影響だ」と、たしなめているが、本心は判らない。


元々、北田君は「家を壊された責任は米田君が入り込んで来たからだ、その補償をしろ」と言い続けてきていた。ボスの米田君は、一旦は北田君の言い分を認めたのである。


その際、「花火」に代る「水鉄砲」をやるから「だからこれで納得しろ」と言いくるめ、北田に約束した経緯があった。それも「水鉄砲は俺の子分である日田からやるから」と言うものだった。


勿論、ボス親分の言い付けだから日田君も聞き入れるしかなかった、一方北田側も庭に穴を掘ったりして受け入れ準備をしたのである、ところがボス米田の気が変わった。「この問題を含め町内の6人衆に委ねる」となったのである。