「テレビはウソをつく」


何十・何百万人、時にはそれ以上の人間が同時に同じ映像を見るだけに、テレビの影響力は計り知れないものがあると思う。まして思考力未発達の幼児への影響力を考えるとこの次の世代への影響には恐ろしいものがある。


水鳥が油まみれでもがいてもがいている映像がテレビ画面を通じ全世界に繰り返し放映された、クエートに侵攻したイラク軍が国連軍に反撃され撤退する際、「イラク軍が原油を流出させ、動物虐待し、自然破壊した」との説明だった。


又、イラク軍捕虜になったアメリカ女性兵士を救出する勇敢な英雄的場面もテレビ画面から、これも繰り返し放映された、負傷した女性兵士が俘虜収容所からヘリコプターで救出される劇的場面もあった。


これら「アメリカ軍のメディア戦術」は、如何に「アメリカが正義の味方」で、「イラクが非人道的」か、フセインが悪党かを印象づけるもので、アメリカ国内だけでなくイラク戦争の正当性を広く世界に認識させるに十分な映像だった。


処が後日、これらは事実と全く異なっていた事が判明した。「油まみれの場面」はアメリカ側で故意に原油を海に流し実写させたものだったし、捕虜の救出作戦も「でっち上げ」だった事が、当の捕虜になった女性兵士の涙ながらの告白で真実が明らかになった。


何れの映像もアメリカが意図的にテレビ映像を通じアメリカ国内、及び世界に意図的に流されたものだった、権力によるテレビ利用は映像を通して情報操作し、イラク攻撃の大義名分の一つとなった。


勿論これはほんの一例で、アメリカがベトナム戦争中東戦争でも多用した手法で、映像で事実を歪曲し自軍に有利なように作為したものである、映像は実に偉大な力を発揮する、テレビは「見て来たようにウソをつく」のである。



(写真は沖縄・琉球村の「保存家屋」)