農家の「実質収入」は「40年前の30分の1」


「農は国の基本」と言われたのは多分40―50年前までの事であろうか、知人と農業の昔と今を語り合って判ったことは今や大多数の農家は「極貧」の「棄民」に陥っているのではないか、という率直な疑問と問題意識だった。


知人によれば、つい20年程前の食管法があった時の米の買い上げ価格は一俵当り(60キロ入り)4万5千円だったと言う、米が自由化されて現在はそれが一俵1万2千円と、約3分の1に低落している。


1町歩当りの米の収量は、今も昔も大体60キロ入りで80俵(4800キロ)と言われ、20―40年前の当時の収入は360万円だった、それが現在は全収入が96万円である、2町歩農家でさえも、昔は720万円、現在は192万円にしかならない。


ところでこの約40年間で一般家庭及び農家の生活実感はどのように変ったのであろうか、40年前(妻の当時の家計簿から推測すると)インフレで貨幣価値は10分の1、(物価は約10倍)となった。


(政府発表の消費者物価上昇率は昭和49年だけでも23.7%、前後の各年度は、毎年十数パーセントの上昇、当時2万円の生活費は今や15―20万となっている)。


もしこれを基準にすると米作農家の所得は「所得が3分の1」に減り、「生活費は10倍になった」と言える、その「開きは何と30倍」、農家は「自由化」で「不自由」「極貧」になったと言う事ではないだろうか。