テレビの威力


然し、その際、テレビ・新聞報道が結果的には一般国民の不安感を募らせて、多数の一般家庭の主婦の買いだめを煽った、と言われている。


或る主婦が2年分のトイレットペーパーを買いだめした、と大きく映像で報じて、視聴者に必要以上に不安感を募らせる事となった。この事例は、現代マスコミの影響力が如何に大きいかを改めて実感させ、マスコミ界にも将来の警鐘とすべき現象であった。


74年、金融引締めで経済界は一転して深刻な不況期に入った。田中内閣への世論の支持率も急降下、田中首相はこの非常時に際し、蔵相に最大政敵の福田赳夫氏を起用し沈静化に躍起となった。福田蔵相は就任に際し、これからの経済政策はインフレの阻止と石油不況対策である、と宣言し、従来からの積極策から緊縮政策に転じる方針を明らかにした。