弱体化するアメリカ


一方、アメリカ経済はレーガン政権下で巨額の財政赤字と貿易収支の「双子の赤字」で、85年以降は純債務国に転落していた。このままではドルの基軸通貨としての地位は勿論、単独での世界の盟主としての座は保持し得ない局面であることは誰が見ても明白であった。


アメリカは一方において北米経済圏(NAFTA)を構想し、既に90年1月からカナダ、更に92年メキシコとも自由貿易協定を締結して、足元を強固なアメリカ支配の経済圏に組み込み、アメリカ資本にとって先ず中庭を「ホームグラウンド化」することに成功する。