対米開戦に際して

okamakoto2006-07-31



「開戦の際、東條内閣の決定を裁可したのは立憲政治下における立憲君主としてやむを得ぬ事である。もしこれが好む所は裁可し、好まざる所は裁可しないとすれば、之は専制政治と何ら異なる所がない。」


終戦の際は、然しながら、之とは事情を異にし、廟議がまとまらず、鈴木総理は議論分裂のままその裁断を私に求めたのである。そこで私は、国家、民族の為に私が是なりと信ずる所に依って、事を裁いたのである。」


「今から回顧すると、最初の私の考えは正しかった、(中略)私が若し開戦の決定に対して「ベトー(拒否)」をしたとしよう。国内は必ず大内乱となり、私の信頼する周囲のものは殺され、私の生命も保証できない。」


「それは良いとしても結局凶暴な戦争が展開され、今次の戦争に数倍する悲惨事が行なわれ、果ては終戦も出来兼ねる始末となり、日本は亡びる事になったであろうと思う。」(以上独白録144―145頁)