東條内閣任命の経緯


「近衛の手記に、東久邇宮を総理大臣に奉戴云々の記事があるが、之は陸軍が推薦したもので、私は皇族が政治の責任者になる事は良くないと思った。」


「尤も、軍が絶対的に平和保持の方針で進むと言うなら、必ずしも拒否すべきではないと考え、木戸をして軍に相談せしところ、東條の話によれば、絶対に平和になるとは限らぬと言うことであった。」


「それで若し皇族総理の際、万一戦争が起きると皇室が開戦の責任を採る事となるので良くないと思ったし、又東久邇宮も之を欲していなかったので、陸軍の要求は之を退けて東條に組閣をさせた次第である。」(以上独白録118頁)


「戦争に反対する者の意見は抽象的であるが、内閣の方は数字を上げて戦争を主張するのだから、遺憾ながら戦争論を抑える力がなかった。」(独白録120頁)